2019.01.12『アリー スター誕生』鑑賞記
『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒットのあおりを受けてどんどん公開規模が縮小している『アリー スター誕生』。
初週規模からするとだいぶ小さくなったであろうTOHOシネマズ日本橋スクリーン4で鑑賞してきた。
三連休ということも手伝ってか軒並み完売していたみたい。
はっきり言ってやっぱり日本のプロモーションはひどい。
歌って、恋して、傷ついて-私は生まれ変わる。
いやまぁそりゃそうだけどさぁ。
こりゃどう考えてもブラッドリー・クーパーの映画だよ!
レディ・ガガの歌唱がすごいことなんてみんな織り込み済みでしょう?
思えば私はクーパーにはよく泣かされてきた。
ハングオーバーは違うとしても、
世界にひとつのプレイブック、プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ、アメリカン・スナイパー。
堕落男を演じさせたらピカイチですね。
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今回は監督してプロデュースして曲作って主演やってと、
バランス力、間違いない。
特にBlack Eyesとか大きいライブシーン冒頭のOut Of Time~Alibiなんかは、曲の骨太感や弾いてる様(特にギターの運指)がもはやプロであった。
ストーリーの筋としては王道なんだけど、
徹底して家族というバックボーンに振り回される男と、
そんな男を捨ててもいいはずなのに愛し続ける女の関係性を軸に、
それぞれの才能がいちどは邂逅するもののすれ違っていく様が見事だった。
ジャクソンは究極のファザコンでありブラコンであり、
片田舎のアリゾナボーイ然としている。
ここぞというシーンで歌われるMaybe It's Timeでは、古い時代の生き方を捨てなきゃいけない、そんな時が来たのかも、というもの。
自分の才能があるのに、過去に引きずられて生きる彼は、アリーを見出したことによって「そんな時」が来たことを確信する。
でも同時に、この曲では人はそんなに簡単には変われないけど、とも歌われる。
アリーはジャクソンにとって明るい道筋となる。
初めて出会った時に彼女の歌うラヴィアンローズを聴いてうっかり泣いてしまう。
Shallowを初めて聞き、ライブで披露したその様は、兄からも義兄弟的な存在からも昔のお前が戻ったようだと言われる。
(駐車場のシーンから、ライブで初めて歌うシーンまで、前半の最高の盛り上がりを作る素晴らしい曲でした。CMだけではわからん)
Always Remember Us This Wayで、きっと彼はとても勇気付けられたはずだ。
実際に彼女との家を持った時、こんなに安らかな時間を持つのはいつぶりだろう、とこぼす。
それなのに、アリーがスターダムをのし上がる過程やその変化についていけず、彼女の道を阻んでしまうジャクソン。
やっと生み出した自分の家庭、安らぎを自らの手で壊してしまいそうになる。
大失態を犯したあとの涙は、本物だ。
だからこそ、アリーは彼を捨てなかった。
何より彼に生涯感謝しているから。
それでも社会は厳しく制する。成功者の道を邪魔することは、許されない。
後半部分は本当に苦しくてしょうがないけど、
出会わなければ始まらなかったことのほうが多いこの関係性は
互いの人生を間違いなく豊かにしたものだし、
それは生涯裏切らないものなんじゃないだろうか。
お恥ずかしながらリメイク元を見ていないのでストーリーを全く知らず観に行ったわけだけど、
それで良かったと思える。
本当に素晴らしい作品だったし、長く愛されるものになると思う。
ブラッドリー・クーパーはきっとクリント・イーストウッドみたいになっていってほしいものです。
#アリー/スター誕生 #映画感想